内閣府の障害者政策委員会のワーキングセッション1,3


気付いたら一週間の半分を霞が関で過ごしておりました。
内閣府の障害者政策委員会のワーキングセッションが始まっています。
特に議論すべき分野別にテーマを設けたセッションです。

昨日は、午前中
●ワーキング・セッション?:成年後見制度も含めた意思決定支援など(第1回目)
コーディネーター:田中委員、玉木委員、野澤委員
参考人佐藤彰一国学院大学)、都築美幸(愛知太陽の家)、細川瑞子(富山育成会)
出席委員:8名
午後から
●ワーキング・セッション?:インクルーシブ教育システム、雇用など(第1回目)
コーディネーター:佐藤委員、柘植委員、辻井委員
参考人:大南英明(全国特別支援教育推進連盟)、田中伸明(弁護士)、永野仁美(上智大学)、村上由美(言語聴覚士
出席委員:13名


●セッション?成年後見制度も含めた意思決定について
成年後見制度」というのは精神上の障害 (知的障害、精神障害認知症など)により
判断能力が十分でない方が不利益を被らないように支援するための制度です。

日常生活の中で、買い物や銀行等で私たちは様々な判断や選択をして生活しています。
障害がある人や認知症であっても、「自分の意思で決める」本人尊重の考えが大事ですが
その権利を守るための課題や、現行制度を改めていく必要性があることなど
まだまだ議論が十分でない制度なんだと感じました。

●ワーキング・セッション?:インクルーシブ教育システム、雇用など
傍聴席は満席、委員の出席も13名と多かったので、質問するのも大変でした。
<教育>に関して私が発言したのは以下の三つです。
この道の専門家と相談をしながら、質問事項を整理しました。
いつもご指導くださる皆さんに感謝です。


1、 第三次障害者基本計画の実施状況には、大学等で
「授業等における情報保障やコミュニケーション上の配慮」が明記されているのに
都道府県・市町村教育委員会に配布されている「教育支援資料」の
聴覚障害」では情報保障が明記されていない理由は?
<教育支援資料>
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250.htm


2、 「聴覚障害のある児童生徒の教育的ニーズに応じた支援機器の充実について、
ICTの発展等もふまえて充実に努める。」とあるが、
現在、すでに音声認識や遠隔通訳による授業支援の事例が増えています。
こうした事例にも着目し、実施状況の中に明記していく必要があるのでは?
また、このような支援も充実させることは考えているのでしょうか?

3、「特別支援教育に関する教職員の専門性の確保」とあるが、
人事異動が3〜4年間と短期化したことにより、手話または点字のできる教員の確保が非常に困難となっていると聞いています。
手話は、日常会話が可能になるには約3年かかり、
授業のように専門的な内容であればさらに約5年かかるという。
こうした現状を解決するための施策は?

教育においては、地域の手話通訳者養成事業とは異なるシステムが必要になると思う。
たとえば、大学の授業で手話通訳者養成を行うコースを設置してはどうか?と
健闘されているようだが、こうした提案を積極的に推進してほしいですよね。

<雇用>に関しての発言は三つ。
1、今後把握を求める資料として
障害者雇用状況調査の調査票に性別の項目を入れてジェンダーの視点からみた集計と公表。
これは本来は全ての調査で横断的に必要なことです。

2、「ハローワークによる障害者の就職件数」に関する定着率が示されているが
それとともに、「求職して就職につながっていない人の状況」はどうなっているのか?
就職につながっていない障害者数は、ハローワークで把握されており、障害者白書にも載っている。
しかしここでも、性別や年齢別の分析が必要。今後きちんと把握してほしい。

3、 三つ目は質問。
厚生労働省が3月に告示した
「改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」」には
例として「筆談」のみ記載されているが、本来ならば
手話通訳や要約筆記など人的支援も必要です。
団体もそれを求めてきたと思うが、記載していない理由は?

<「改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」」>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078980.html
Ø 面接を筆談などにより行うこと。(聴覚・言語障害


こちらのセッションは時間が足りず、委員から省庁への質問の回答はすべて次回に持ち越しとなりました。
興味のある方は是非傍聴にいらしてくださいね。
夜はこれ、「善光寺竜眼」。頂き物ですが酸味がスッキリ!