めぐりめぐっての巡りあい


待ち望んだ出会いがかなった日!
国際医療福祉大学大学院の公開講義「発信力を磨き・想像力を磨いて、医療を変える・福祉を変える」で講師をさせていただきました。
担当教授は、大熊由紀子先生。
自らを「福祉と医療・現場と政策をつなぐ志の縁結び係&小間使い」と名乗り、
異なる幅広い分野の人を結ぶ「えにしネット」を主催されています。
大熊さんとは2003年、私が視覚障害のあるユウコさんとの共著
「ユウコとカリンのバリアフリーコミュニケーション」(小学館)を出版したことがきっかけで出会いました。


今回、講師の打診をいただき恐れ多くもお受けさせていただいたのです。
受講生の皆さんはお仕事が終わってからの授業なので、お疲れのはずなのにとても熱心。


この日、私にとっては忘れがたい出会いがありました。
以下は「めぐりめぐっての巡りあい」。


ことの始まりは1997年。
現在私が副代表を務めている「共用品ネット」という団体の前身であった「E&Cproject」で大きなイベントを開催しました。
その名も「バリアフリーは銀座から!」
座商店街と協力し、銀座一帯をバリアフリーにしちゃおう!という企画です。
例えば、SONYビルではバリアフリー商品の展示会、
バリアフリーシンポジウム、
ビクタービルでは、バリアフリーコンサート!といった具合です。
そんな中
「じゃあ四丁目の銀座和光ショーウィンドウでは手話でメッセージを発信してもらおうよ!」と提案。
当時私は22歳、怖いもの知らずの発言です。
ところが、メンバーにセイコーと関係のある方がおり、
「和光の人と面談するよ!イメージをまとめといてね!」と。


そうして私は、
「聞こえない人の言葉である手話を、ここから発信してほしい!」と
稚拙なデザイン画を何枚も広げ、数種類の手話メッセージや思いのたけをぶつけました。


じっくりと耳をかたむけ
「できるかどうか分かりませんが、面白いアイデアです。」
そうおっしゃってくれたのが、八鳥治久さんでした。
ショーウィンドウ界の巨匠とも呼ばれ、世界一とも言われる和光のショーウィンドウの数々を手がけてこられた方だと知ったのはずっと後。
若いって恐れ知らずです。


そうしてイベント期間に合わせて披露されたショーウィンドウを見てたまげました。
描いていたイメージそのものだったからです。
採用された手話は「愛」(愛してるのほか、可愛い、大切という意味もあります)
「手話劇場」というタイトルがつき、「銀座から愛を発するショーウィンドウ」として注目されました。


イベント終了後の打ち上げの帰り、気分よく酔っていた私たちは
タンバリンを鳴らしながら和光前の交差点を行進。(よく捕まらなかったなぁ)
記念写真をとったり、興味を示す外国人に
「これは日本の手話で、愛してるっていう表現ですよ!」と勝手に解説をしたり。笑


そんなこともすっかり忘れつつあった2013年、当時22歳だった私は、立派なアラフォー。
大熊さんからメールが届いたのです。
「教えている学生さんが、八鳥さんの奥様なのです!和光の!」
その時の講師が、共用品推進機構専務理事の星川安之さんだったとか。
星川さんは、当時の企画を中心になってまとめた方で、たまたま話題にのぼったのだとか。
そうして奥様である、藤原瑠美さまをメールでご紹介いただき、
ご主人の八鳥さんが、当時の私が出したお礼状を今でも大切に持っていると
写真を送ってくださったのです。(とっても恥ずかしい)
藤原さんご自身も、和光にお勤めだったとのこと、
現在はスウェーデンの福祉や高齢者ケアの研究をされており、ご著書も沢山。
フェイスブックで紹介される日々の暮らしや食卓コーディネートがセンスよくおしゃれで素敵なのです。
いつしか私の憧れとなっていました。
いつかお二人に直接お目にかかりたい!そんな想いをずっと温めていたのです。


そうしてやっと、大熊さんの授業で念願かなっての初対面。
抱き合ったまま涙が止まらないという、私にしては珍しい事態に。
めぐりめぐっての巡りあいです。
生きていると、こんなことがあるんですね。
素晴らしいえにしを作ってくださった大熊さんに感謝です。
今でも私にとって、銀座四丁目の和光ショーウィンドウは大好きな場所。
次はご主人様である八鳥さんに…とひそかに想う私です。