子を産むに値する人とそうでない人という区別


「不良な子孫の出生を防止する」という目的のもと
知的障害者などに本人の同意を得ることなく1996年までの50年間、
1万6000人もの人(男女ともに)が不妊手術を受けていたと知り、心が重くなりました。
1948年に成立したこの「優生保護法」は
1996年に法改正されるほんの数年前まであったということです。


知人に誘われ、
優生手術を受けて、子どもを持つことを奪われた方々の話しを聞く機会がありました。


宮城県の女性は、知的障害があると誤診断され
中学を卒業後、住み込みで職業訓練を受けていた雇い主に
何も知らされないまま、卵管を縛る不妊手術を受けさせられたそうです。
私が驚いたのは、民生委員も両親に対して不妊手術をすすめていたということ。
調べて分かったのですが、戦後一時期、民生委員は優生保護法に協力する義務があったのだとか。


女性は、退院後にたまたま両親の会話を耳にして、それが不妊手術だと知ったといいますが
16歳の少女にとって、その事実の重さは、察するに余りあります。
50年たった今も身体的、精神的な後遺症に苦しみ、何度となく
「悔しい」「できることならば人生をやり直したい」という言葉がありました。


法改正された今でも、障害のある女性は
「子育てなんてムリでしょ」
「生理の介助が大変だから」
と介助をする側の都合で子宮摘出を勧められることもあるとか。


「子を産むに値する人と、そうでない人」
という区別をする法律があったこと
しみじみと、重く受け止める内容で
こんなに重大なことが今まで放置されてきたというおかしな現実。
自分に何ができるだろうかと、常々考えさせられます。


結局のところ、
わたしができるのは、
自分が見聞きしたことを、自分の言葉にして、
他者へ伝えていくことなんだと、思います。
一人でも多くの人が知らねばならないことが、まだまだあります。

朝日新聞デジタルでも、紹介されていました。
http://www.asahi.com/articles/ASH6R5RHTH6RUTFL00B.html