おとうと


子どものころ、私にとって弟は実はライバルでした。
虫捕りの。
毎日のように虫かごと虫取り網を手に野山を駆け回り、
捕獲した数を競い合っていたのです。
弟の虫かごから
こっそりオニヤンマを自分のかごに移しかえていたわたし。(姉さんなのに!)
動く隙間もないくらいギッシリつまった虫かごを持ち帰っては
母に叱られて二人で放しに行く夕暮れ。



そんな愛すべき弟が経営するのが
群馬県みなかみ町JR後閑駅から30秒の「居酒屋舟宿」。
もともとは両親のお店だったのですが
弟がまだ若くてスリムでカッコよかった頃、
一人上京して修行を積むこと数年間。
故郷に戻って晴れて父からのれん分け。
両親は、新潟駅から徒歩五分の場所に
新しく「居酒屋舟宿」を作って現在はソチラに。


弟、店長となって15年ほどたつとか。
かつての面影はどこへやら、
すっかり貫禄たっぷりでっぷりまさに店長の風格。
父と似てきましたが、
彼のすごいところはもともと父のお店だったのをいまや自分のものにしているところ。
弟が弟子入りした時は、ぶつかってばかりの二人。
ここまで来るのは大変だったと思うのですが
お店の常連さんから
「弟はスゴい!!」
と聞くたびに嬉しくなります。


お正月、久々にお店を覗いてみました。
カウンターの上方に、
私が大学生の時に描いたイラストがまだ飾ってあったり。
これ、パリの風景を描いたものですが
焼き鳥の煙にあぶられて
今やすっかり溶け込んでます。
グンマの居酒屋に。


ちょっとはヤセなさいよ!とツッつくと
「お金かけて作り上げたこの身体、
そんなカンタンにヤせてなるものかw」と。


ただの脂肪ですから!w