文科省と石狩市をテレビ電話とUDトークでつなぐ!

霞が関文部科学省と、北海道石狩市の翔陽高等学校をテレビ電話でつなぎ、
更にそれをUDトークでリアルタイム字幕表示!という面白い試みをしました。

トライしたのは、ナミねぇこと竹中ナミさんが開催する
「ユニバーサル社会を創造する事務次官勉強会」。
月に一回、各省庁の事務次官たちが集い、昼休みにおにぎりを食べながら
様々な分野の講師を招いて情報交換する場です。
ナント今年で10年目だとか!!
ナミねぇ曰く
「組織のトップだから知識が誰よりもある!というわけではなく、
知らないこともあれば知りたいこともある。そのために続けてきた」と。


今月は「石狩市の手話基本条例と、同市の翔陽高等学校の手話科目導入」がテーマ。
会場となる文科省には、各省庁の事務次官と関係者、
石狩市の田岡市長をはじめとする石狩市の方々。
テレビ電話でつなぐのは、翔陽高校の生徒さん(ひとりはろう者)と
30年も手話に関わってこられた生田先生の三名。


石狩市は、市町村で初めて制定した市。
翔陽高校では、「ボランティア局」という部活動で手話に力をいれており
全国高校生手話パフォーマンス甲子園は2大会連続出場、
高校生手話スピーチコンテストにも挑戦されています。
石狩市が手話基本条例を制定した動きの中で
「なぜ手話の授業がないの?」という疑問が生徒から出たのがきっかけで、
手話科目の導入に至ったとか。


手話は長い歴史の中で、言語であることを理解されず抑圧された時代もありました。
しかし
石狩市長の田岡さんは、「言語は文化を創り、言語を失うと、人は文化も失う」といいます。
大学生の時に言語学を学んでいたと聞き、納得。


「手話は言語であり、手話を通して社会変革モデルを試みる。」


「言葉っていうのは誰でも持ってる。
 自然な言葉を自然なまま使える社会をつくろうと思う。」


「同じ日本に一緒に暮らす仲間なんだから、日本語と、
 そして手話も使おうよ!と、そんな国にしたい。」

「手話の授業は全国どこでも取り入れているけど、
 コミュニケーション手段としての手話だけでなく
 手話の背景にあるものや、言語学的な発想で授業をしたい。」


こんな話を聞きながら
手話を言語として石狩市から広めていく市長と
手話の授業がないという疑問を持つ生徒の、素直な感性と
生徒の疑問に正面から向き合い、実現させた先生方の柔軟性、
この見事なバランスの三角関係が、周囲を巻き込んで大きな円に広がるのを感じました。


手話を言語として認知し、普及させ、手話ができる環境を整えていくことは
「ろう者」として生きることを受け入れる寛容な社会に変わることです。
また、地域ので素晴らしい取り組みが進めば進むほど
四月に施行された障害者差別解消法のなかで、足りない部分が明らかになり、
三年後の見直しにもつながります。


ちなみに、テレビ電話とUDトークを使う最低限のルールは
・マイクを通して話す
・一人ずつ話す

マイクが一本だけだったので、ホスト役の文科省の次官が
自らマイクをもって反対側の田岡市長のところへ駆け寄ったり
フツウのオジサン、というか、男子のように楽しんでいらっしゃる感じが
とっても良い雰囲気でした。


そして実は、翔陽高校の生徒さんが2011年の全国高校生手話スピーチコンテストに
出場されていたときの、記念講演を私がしていたという不思議なご縁も。
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20110822



石狩市の手話基本条例はこちらから。
子ども向けリーフレットがとても分かりやすいのです。
http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/soshiki/syougais/3541.html