パスポート化した切符、栃木県シルバー大学校17年目

60歳以上が学ぶ、栃木シルバー大学校での授業は今年で17年目。

矢板市小山市宇都宮市と県内3か所、全4回の開催。
生徒の皆さんは親と同世代、朗らかでパワフル!
豊かな人生経験を重ねてこられた方々はおおらかで、笑ったり、泣いたり、
授業中の反応もよくって私もずっと笑いっぱなしです。

毎年思うのは栃木のタクシーの運転手さんがすごく優しいこと。
1日目の運転手さんは、私が聞こえないことを伝えると、
信号で止まるたびに筆談で話しかけてくれました。
私のお気に入りの餃子屋さん「餃天堂」が閉店してしまったと伝えると、餃子マップを取り出して
おススメ餃子のお店をいくつも教えてくれました。

2日目の帰り、矢板ツーリングタクシーの運転手さんは女性。
手話で話しかけてくれてびっくり。
ご両親がろう者のコーダだったのです。
実は昨年の送迎時も担当してくれたそうですが「恥ずかしくて話しかけられなくて…親にいったら“なんで話しかけなかったの~”といわれ今年は勇気出しました!」と。嬉しいなぁ。
とっても嬉しくて、タクシーから降りるのも忘れてしばしおしゃべり。
「来年もお願いします!」と足取り軽く矢板駅の改札へ。

ところが。
帰りの切符を自動改札機に入れたら赤ランプ点滅してバタン!
と、とおれない。
さっきまでの浮足立った気分が一気に消滅。
矢板駅は昼間は無人駅、周囲を見渡しても駅員も乗客もいないのです。
当然ですが、改札のドアは堅くて開かず。
うわー困った…。
なぜ改札を通れないのか、私には心当たりがあります。
その日の朝、宇都宮駅から矢板駅に行く時
間違えて帰りの切符で改札を通ってしまったのです。
すぐに駅員さんに事情を話し「誤入鋏」のハンコ。
一度改札を出て改めてSuicaで入り直し、矢板駅に到着。

そして、矢板駅から帰るときの切符は
「改札を通ってしまったけれど未使用」状態の誤入鋏切符なので
駅員さんにハンコを見せて通らないといけないらしい。

でも駅員さんはおらず、目に入ったのはモニター付きの「インターフォン
無人の時間帯の対応のために設置されたものです。
音声対応だけかな…と思いきや
「筆談の方は、ボードをカメラにかざしてください」という表示がある。
その下に、メモ用紙も置かれている。
わぁ!これなら聞こえない私でも使える!と
『改札を通ることができません』と書いてボタンを押し
メモ用紙をカメラの前にかざしてみた。
ここまでは良かった。
問題はこの後だ。

モニターの表示は変わらず
何かを言われているようだが、聞こえない。
モニターの表示は最初のまま。
すぐにスマホ音声認識アプリを出すと
「しばらくお待ちください」
「しばらくお待ちください」
「しばらくお待ちください」
と五回ほど繰り返している。機械の自動音声か。待ってれば駅員さん来てくれるの?
相変わらず人っ子一人いない駅でますます困って途方に暮れていたら
後ろから肩を叩かれた。

なんと、先ほどの手話が上手な運転手のKさん。このタイミングで神様…!
インターフォンでのやり取りをしてくれて
その後来てくれた駅員さんとの会話も通訳してくれて
おかげさまで無事に帰ることができました。
どうやら運転手のKさん、ロータリーから
私が困っている様子が見えて走って駆け付けてくれたのです。

その後、自宅最寄り駅まで自動改札は通らず有人改札へ。
切符には
「誤入鋏」「宇都宮」「宇都宮301」その他駅員さんの名前や日付や様々なスタンプや手書きのサイン、全部で7種類だ。
まさかの駅員さんにハンコをもらうスタンプラリー。
いやパスポートか!
なんだか妙な達成感というか誇らしささえ感じて写真に収めた。

帰宅後、運転手Kさんの対応が嬉しくて、タクシー手配をしてくれたシルバー大学校にお礼のメールをしました。
すると15分後に返信があり
「早速、乗車いただきました矢板ツーリングタクシーにお電話を差し上げ
ドライバーのKさんとお話しすることができました。松森先生のメールをお伝えしましたところ、Kさんもたいへん喜んでおられました。また、来年もKさんのタクシーを希望されていますよ!ともお伝えしました。」と、なんて素早い対応!

嬉しいことをシェアすると伝言ゲームみたいに繋がる。
JRさんの無人駅対応インターフォンアクセシビリティ
聴覚障害者も使えるようにもう一工夫必要だという課題を発見し、
行く先々で色んな人に助けられ
まさかのJR切符スタンプラリーとなった1日、
最寄り駅で何かもらえるかな?
そんなわけないけれど。
スタンプだらけの切符手放すの惜しかったなぁ。