桑沢デザイン研究所「デザインの視点」2023

桑沢デザイン研究所の授業「デザインの視点」
講師としてもう20年くらいでしょうか。
受講生約300人、ほとんどがオンライン受講で
教室には数名。これも面白い光景です。

「デザインの視点」の授業の特徴は、各回の講師が多様なこと。
企業のトップからデザイナー、当事者など同じ数だけテーマも様々。
情報技術、ブランディング、身体感覚の活用など
独自の視点から実践されたデザインの取組みを学ぶ授業です。

「視点を変えれば価値観も変わる
 視点を増やすことで世界はひろがる」

そんなことを一緒に考えたくて
日常生活からエンターテインメント、そして
コミュニケーションのデザインまで紹介します。
学生のレポートは、イラストやグラレコ風、手話の動きのスケッチとか
見ているこちらも楽しく、彼らがどのように受け取ってくれたのか伝わります。
印象に残ったコメントの一部です。

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【そもそもの問いを立てること】
社会の常識や前提と言われることに疑問を持つことを怖がらなくていいと聞いて安心しました。
むしろ前提を疑い、本質がどこにあるかを考えていく必要がある。
自信をもって自分の疑問や提案を伝えていこうと思います。

【世の中のデザインを見直すきっかけに】
今迄の概論の授業の中で一番興味を惹かれました。
世の中のデザインを見直すきっかけになりました。
私も洋画が好きでよく見るのですが、味気ない字幕が多いな。と感じていました。
映画の雰囲気と合わず残念に感じていたのですが
聴覚障害者にとっての課題にもつながっていくと思いました。

【決めつけない】
盲目の旅芸人であるごぜについて調べていた際に、一人のごぜさんが
「目が見える人は不便だね」と発言したのを見つけた時を思い出しました。
ろう者と聞いたとき、多様であるはずの特性や個性を差し置いて
無意識的に「不自由である」と画一的な決めつけから入ってしまうことの
浅はかさを改めて実感しました。
社会では大小さまざまながら全員がバリアを抱えて生きています。
そのバリアをできるだけなくすような社会ができるといいなと思いました。

【デザインの成長を健常者の当たり前で止めない】
先生が学生だった頃も、今を生きる聴覚障害の学生が思っているも
課題と感じることが共通している。
「リアルな情報が得にくい」
「コミュニケーションがとりにくい」
問題の本質は何なのか?
デザインの成長を健常者の当たり前で止めてはいけない!

【外国籍の学生もコミュニケーションで困っている】
先生のコミュニケーションについてのアイデンティティを聞いて感動しました。
自分としてのコミュニケーションの手段とコミュニケーションの理解も
まだよくわかっていないことに気付きました。
これをきっかけにコミュニケーションを大事に考えていきたい。

【プレゼンそのものも大事】
プレゼンそのものがとても分かりやすくて勉強になりました。
マーケティングや企画を学ぶゼミに所属しているのですが、
松森さんの表情や話すスピードが印象的だったので真似してみたいと思いました。
先生の話し方はすごく心地よくて、他の先生より聞き取りやすかったです!

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これからの卒業制作やその後につながっていくといいな。
またどこかで会えることを楽しみに。