合唱団と井戸端手話のコラボ?

今年の春、地域の福祉課より一通のファックスが届いた。


「某マンション内の合唱団が、歌に手話をつけてみたいと相談がありましたが、もしかしたら松森さんのマンションではないかと・・・」


そうです!私の住むマンションです!
このマンションで、井戸端手話の会を続けてきてもう七年目ともなる。
http://d.hatena.ne.jp/idobatashuwa/
たまたまその日、井戸端手話の会がありメンバーにファックスの紹介をして解散をした後、マンションのロビーで合唱団のおば様達が集っているのを発見。
思い切って声をかけてみたら、大喜びされた。


灯台下暗しとはこのことだわ!同じマンション内で手話サークルがあったなんて!!」と。


井戸端手話の会、口コミでママ友達の間では知られているし、メンバーも大勢いるけれど、サークルというほどではなく内輪でのひっそり活動だったので、マンション住人にもほとんど知られていない。

一方、合唱団は、今年の四月からマンション内の自治会サークルとして公認されたばかりだという。
マンションでは毎年様々なイベントが催されているが、一年で一番盛り上がるのが、おそらく夏祭り。
この夏祭りのステージでの初舞台に向けて、合唱の練習をされているという。
数曲ある歌の中、二曲ほど手話でも歌いたいという要望があり、井戸端手話の会でも協力をさせてもらうことに。


思わぬ出会いに、ワクワクする話ではないか。
素敵なおば様たちを中心とした合唱団。
指揮をとる先生が、マンションのテーマソングまで作ってくださった。
明るく軽快なリズムで子どもも大人も楽しめそう!

一ヶ月に三回程度の合唱練習に、井戸端手話メンバーも参加し全員で手話を覚えていった。

実は聞こえない私も、この練習日が待ち遠しくて仕方ないくらい楽しかったのだ。
マンション内の音響ルームのピアノを使って練習をするのだが、ピアノの音は、聞こえなくなった私でも唯一響きを感じやすい楽器。
ピアノの近くにいると、音が身体中に響いてくる。
はっきりと聞き取れなくても、補聴器のボリュームを最大にして音を感じることができる貴重な時間。
軽快なピアノのリズムが、私の身体の中でポンポンと踊りはねているよう。
普段ピアノの近くで音を感じる機会なんてなかなかないので、身体全部で喜んでいた感じ。

もう一つ感激したのは、先生の指揮。
表情溢れる指揮を見ることで、歌の印象やイメージがものすごく伝わってきたこと。
声をまっすぐ伸ばしたり、震わせたり、だんだん強く声を出したり、まーるくしたり、弱くなったり薄くなったり・・・
言葉ではなんとも表現しにくいが、「ただ歌う」のではなくて、「声を合わせて合唱するって、こういうことだったなぁー」ということが、視覚的に見て分かる指揮なのだ。
指揮っていうと、両手を振って「1、2、3、4」とリズム描く指揮しか知らなかった私は、ものすごく驚いた。
メロディをこんなふうにして視覚化できるなんて!!

こんな感じで、さすがに大声出して歌う勇気はなかったが、聞こえない私も手話指導をしつつ、歌の練習に参加させていただけたのは本当にありがたかった。


本番では、あつかましくも井戸端手話の会のメンバーも一緒に歌わせていただくことになり、紹介する時間もあるとか。
最初はこっそり手話指導の予定が、まさかこんな大きな話になるとは。
とっても楽しみにしていたのだが、当日は息子のサッカー準決勝試合が重なり私は参加できなかったが、合唱団と井戸端手話の会のコラボは大変好評だったと聞く。
大勢のお客さんも巻き込んでの大合唱!?
見たかったなぁ!!!!

それにしても、完全な音楽として聞こえなくても、楽しい音を感じることができるだけでこんなにリフレッシュできるとは。

でも、そうだ。

聴いているだけで心が癒されたり、元気になれたりする。

これが私の知っている音楽だ。
やっぱり音楽って素敵!そんなふうに実感した夏休みも終わり、明日からやっと息子の学校が始まる。
いまだに私の頭の中では、マンションのテーマソングや、「手のひらを太陽に」や「南風」「村祭り」などの歌がぐるぐると鳴っている。