井戸端手話の会・出前講座

マンション内で、母親たちの井戸端会議を「手話でできるようにしようよ」と始めた「井戸端手話の会」
毎週一回集まって手話で話をする時間を設け、今年で10年目となる。
毎年夏休みには、子どもを対象にした「井戸端手話キッズ」というイベントも行ってきた。
今年は10年目だから華々しく…そんな話をしていた折、息子が今年卒業した小学校から講師依頼の打診があった。



今年から3年生以上を対象に「有意義な夏休みにするための講座」企画をするとのこと。
一週間、地元の漁師さんのお話や、京葉ガスの出張講座、ソーラークッカーでポップコーンを作るなど、様々な講座が組まれるという。
早速井戸端手話の会のメンバーたちに相談、全面的な協力要請をして
「井戸端手話の会出前講座〜誰でもカンタン手話リンガル〜」がまとまった。
子どもが興味をもってくれるようにと盛りだくさんの内容だ。



1、井戸端手話の会の紹介、手話のポイント
2、まずは簡単なものを表現してみよう
  身近な動物、虫、気持ちやあいさつの手話
3、改めて手話って何?
  手話と指文字、漢字の手話、数字の手話
  手話で自己紹介タイム
4、知ってなるほど、手話の成り立ち
  成り立ちや語源が面白い手話の紹介、地元の手話など
5、知ってビックリ!手話クイズ
  日本の手話と世界の手話、手話にまつわるたくさんのクイズ
6、顔の表情、体全部を使って表現してみよう、豊かな手話の世界
7、手話で歌ってみよう
  3・4年生→さんぽ
  5・6年生→小学校校歌
8、まとめ



3・4年生対象と、5・6年生対象の二コマ。
通してパワーポイントを使用しながら進めていく。
それぞれメンバーで担当分けをし、前日にはリハーサルまで行った。笑

当日はとにかく、まず楽しむことを第一に心がける。
定員を超えた数の子どもたちが集まってくれて、直前まで緊張して胃が痛いなどと言っていたメンバーも、
子どもたちを前に、堂々と笑顔でレクチャー。
当然、メンバーの子どもたちも結構いるのだが、自分のママを見る目は、真剣そのものでキラキラしていた。
普段のママとは違う一面を目にしてまさに尊敬のまなざし。


こちらが表す手話をどんどん子どもたちがまねていく。
指文字50音なんて、サラッとやっただけですぐに覚えてしまう柔軟さ。
後方の先生方が、指の一本一本を動かすのに苦心しているのと対照的で面白かった。

意外だったのは、男子が多くて最前列を占めていたこと。
また、3・4年生は「楽しい〜!オモシロ〜い!」という雰囲気だったのだが
5・6年生は一転落ち着いた雰囲気で、楽しみつつも深くうなづきメモを取ったりしていたこと。



私たちメンバーの「コミュニケーションって楽しいということを伝えたい」という思いと
子どもたちの「もっと知りたい」という思いが響きあう、そんな豊かな時間を感じた。



井戸端手話の会をやっていていつも思うのは、母親たちのコミュニケーションに対する柔軟さ。
その場、その時に応じて、子どもの言ってることを通訳してくれたり、反応を教えてくれたり、いつも臨機応変に対応してくれる。
最後の歌は、手話のイメージがわかりやすいようにとイラストを作ってくれたりもした。
こんなイベントで底力を発揮してくれるメンバーは、なんだかんだ言っても肝が据わっていて頼もしい!



子どもたちは何かを感じ取ってくれただろうか。
興味をもつきっかけをつかんでくれただろうか。
手話ってオモシロいって実感してくれただろうか。
世の中にはいろんな人がいて、それぞれの価値を認め合ってともに生きることが大切だと
伝わっただろうか。


終わってみて、いろんな思いが巡る。
反省点は多々あるが
子どもたちの笑顔をみて、ひとまず成功か。
終了後に、メンバー全員で校長室で麦茶で乾杯。笑



新しいことを始めるのは難しい。
準備が大変だから、人員が足りないから、予算がないから。
いろんな理由が並べられるが、できない理由を考えるよりできる方法を考える方がずっといい。
ましてやそれが、子どもたちにとって良いことであれば尚更。
それらを実現させてくれた校長先生をはじめ、ご協力くださった先生方に心から感謝したい。
私たちにとっても貴重なかけがえのない機会となった。


今後は、継続していけるといいなと願う。


井戸端手話の会10年目。
途中、消滅の危機もあったが、手話に興味をもってくれるメンバーが一人でも二人でもいるならばと
「続けることが大事」を合言葉にやってきた。
来年もできるといいな出前講座!と野望を新たに
「井戸端手話の会」さらなる10年目に向かう。