字幕があるだけで

karinmatasumori2010-06-04

最近ちょっとしたきっかけで、政治が身近に感じるようになった。

以前どこかで聞いたことがある。

聴覚障害者は政治情報に疎い」

個人差はあるだろうが、なるほどと思った。
その理由の一つとして、一部の政見放送や立候補者の演説、政治討論などの情報保障が確立されていないことが挙げられる。


6月2日、鳩山首相の辞意表明があった。
NHKを始め、各局で民主党両議員総会の中継が放送された。
たまたま自宅にいた私は、テレビに釘付け。
あっちこっちとすべてのチャンネルに代えてみたが、字幕を出している局は一つもなかった。
一国の首相の辞意表明。
一大事である。
聞こえない人だって同じ国民のひとり。
今時、生中継で生字幕を出すのはそれほど難しいことではない。
現にスポーツ中継だって、ニュースだって、生字幕が増えているのだ。
しかし、涙ぐみながら言葉をつむぐ鳩山首相の映像からは、何も伝わってこない。「やっぱり辞めちゃうのか。」せいぜいこの程度の情報だ。

一体首相はどんな言葉を発し、何を伝えようとしているのか、おそらく数時間後にはきちんとしたニュースで編集されて、おおまかな内容はテロップで出てくるのであろう。
しかし、目の前で見ているのに、その場で伝わってこないもどかしさ。


どうすれば、分かってもらえるのだろうか。


そうして今日の午前中、民主党代表選の中継。
樽床氏と、菅氏の10分間の演説。
各局が放送している中、フジテレビのみ生字幕で対応していた。
「ピンチをチャンスに」という樽床氏の言葉。
「強い経済、強い財政、強い社会保障を実現」という菅氏の言葉。

字幕があるだけで、こんなに印象に残るものなのだ。
歴史の節目を、みんなで共有できるという当たり前のことが、ものすごく重かった。
フジテレビには、早速その気持ちをメールで送った。
こんな小さなことでも、きっと今後につながると思うから。

数分後。
代表選が終わり、菅氏当選の中継。


……あぁ、ここには字幕がなかった!惜しいっ!