憧れの山田洋次監督と

karinmatasumori2011-10-30

濃密な一日!


憧れの国際映画祭。
まずは「映画の未来―バリアフリー上映を考える―」シンポジウム。
山田洋次監督の基調講演があり、その後パネルディスカッション。
山田監督の甥御さんがろう者だったこと。
彼にも映画を楽しんでもらえるようにと字幕をつけるようになったことなど、とても興味深い話を。
パネルディスカッションでは、NPO法人メディア・アクセス・サポートセンター理事の山上徹二郎さんの司会で、様々な立場からの課題提起や提案が行われ私自身も勉強になりました。
佐賀県の古川知事からは、「バリアフリーさが映画祭2011」への取り組み紹介。参加したいくらい魅力的です!
東京大学先端科学技術研究センターの大河内直之さんからは、視覚障害の立場から、また研究所での取り組みや副音声解説について。
大河内さんは、知的でにこやかで面白く、全盲ですが手話が達者で驚きました。
NPO法人メディア・アクセス・サポートセンター事務局長の川野浩二さんからは、バリアフリー映画についての海外の様子や、ヘッドマウントディスプレイの紹介のほか、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」という映画で、音だけバージョン、音なしバージョンなど見えない、聞こえない観客の疑似体験上映も行われました。これはインパクト強かった!!
私は聴覚障害の立場から。2007年の「バベル」という映画、日本のろう者の若者たちが400人もエキストラとして参加していましたが、日本語セリフに字幕がつかなかった出来事。一か月足らずで四万人もの署名が集まり、最終的には字幕が付いたことなどを取り上げ、この日本の現状を変えていきたい、と提案をしました。
映画は娯楽の一つ。
いつでもどこでも、だれとでも、映画を楽しめるのが、その国の娯楽水準を示しているともいえるのではないでしょうか。


あっという間の一時間。
終わった後は、同時刻に別会場で行われている
幸福の黄色いハンカチバリアフリー上映会場へ。
移動時間が15分しかなく、スタッフに案内されるまま瞬間移動?!


到着後、上映会が終わりトークショー「山田監督を囲んで」。
山田監督の隣の席に案内され、シンポジウム以上に緊張しました。
とっても穏やかで温かで、まさに山田監督の映画そのものに出てきそうな人間への深い理解力と慈愛に満ちたお話をされていました。


トークショー終了後、記念撮影をするときに
幸福の黄色いハンカチって手話でどうやるの?」
「しあわせは、ひげをなでる様子。黄色は親指と人差し指でひよこのとさかのイメージで…」
「黄色って、映画のラストシーンの竿が交差している様子に似てるな〜」
なるほど!
一つ一つの表現に対する反応が素晴らしくて、さすが表現者


別れ際に、もういちど、
「幸せの、黄色い、ハンカチ」と。手話で!!

まるで、映画のラストシーンを観ているかのような余韻のある別れ方。



余韻冷めやらぬまま、赤坂へ向かい「手話コミュニケーション倶楽部」へ。
こちらは手話講師のお仕事。ちょっと早めについたので、
無理を言ってエネルギー補給の生ビールを「一杯だけ!」いただきました。
今回もまた、リピーターから初参加の方まで、楽しいメンバーばかりで手話を楽しみ、「ひたすら楽しかった!美味しかった!たくさん手話った!」という印象しかありません。


そうそう、トークショーの時にとても感激したこと。
それは最後の撮影会で、マスコミの方々が集まっていたのですが、司会者が
「撮影される方は、声を出して手を挙げて合図をしてください」と、繰り返しお話しされていたということ。
すごいのは、このアナウンスをするときにわざわざ「視覚障害者、聴覚障害者にもわかるように…」などという陳腐な説明は加えず、当たり前のように言っていたこと。
こんな小さなことが、まさにバリアフリーユニバーサルデザインの基本!
幸福の余韻たっぷり、ワインもたっぷり堪能、の一日でした。



この一日を支えてくださった関係者の皆様、手話通訳や要約筆記の皆様、本当にどうもありがとうございました。