親子三世代エンタメ珍道中inマカオ<後編>

観光初日は大雨。
真っ青な空の下、西欧風のカラフルな建物と美味しいワイン。
これがガイドブックを見過ぎた私が描いていたマカオなのに
真っ黒な雲と雨でなんにも見えず。
仕方なくタクシーでレッドマーケットという屋内市場へ。

生きた魚をその場でさばいて売っているため、匂いが強烈。
築地市場にはないグロテスクなビジュアルに圧倒され、貝柱を買って退散。(夜のつまみに)

雨の中うろついていると、香港大学の女子学生二人からインタビューをうける。
同じく大学生の息子が英語で対応。
「建築デザインの勉強をしているが、市場の外観はどう?
中は?雰囲気は?日本とちがうところは?」など質問される。
英語で答える息子の横から、母ケーコと父と私が
「フレッシュなフィッシュ!」だの
「匂いがベリーハード!」だのと身振り手振りで応戦。
息子以外はみんな「世界の果てまでイッテQ」の出川哲郎だ。
この後は足つぼマッサージでも行こうとタクシーにのるが
全く知らない場所におろされる。
通行人をつかまえては「ここはどこ?」と尋ねるはめに。

うろうろしていると晴れてきて気温が上がってきました。暑い…
現在地が「マカオ博物館」の近くだと判明、
エッグタルトを食べつつ暑さから逃れるべくそこへ行こうと進路変更。
近くにはマカオのシンボルでもある聖ポール天主堂跡
正面の壁だけが残っており、地震でも起きたら倒れそう。
そこからやっとポルトガル時代の黄色い街並みが見えてきました。
竹下通りのような路地は日本と同様に人がいっぱい。しかも暑い…
広東料理のお店に入ってビールを四本注文したら
小瓶ではなく大瓶で出てきました。
結局全部飲むのですが。


母ケーコが、ガイドブックでおすすめのお土産と紹介されている
「干し肉」がほしいという。
見た目は「のしイカ」ですが試食したら甘いのなんのって。
夜は屋根なし二階建てバスでカジノリゾートのゴージャスな夜景を堪能。
マカオの代表的なリゾートホテルを回り各ホテルの噴水ショーなどを
バスの上から効率よく鑑賞できるのですが
これぞマカオ!という感じのハンパないギラギラ感に目がくらむ。
「ビール持ち込めばよかったね」と母ケーコ。


夕食後にリベンジ☆足つぼマッサージ!とタクシー飛ばして着いたのは
超巨大なリゾート施設「ギャラクシー・マカオ
東京ドーム24個分とかで6つのホテルやらなんやら入ってる。
こんな広大なところで、たった一つの足つぼマッサージを探すのは至難の業。
まず、案内カウンターらしきものがない。
フロアマップも少ない。見ても絶望的な広さで距離感がつかめない。
うっかり迷い込んだカジノで英語が堪能な青年スタッフが
「カジノを横切ると近い」と教えてくれたものの21歳未満の息子は入れず。
「とても遠いので案内します」と申し出てくれた。ありがたや。
彼を頼りに歩くこと30分……足が棒状態の我々を待ち受けていたのは
「超混雑につき次の予約は0時すぎ」という容赦ない受付嬢。
敗北感にうちひしがれつつホテルに戻ってまた乾杯…。


そうして迎えた最終日、今度こそリベンジのリベンジ!
もはや半分やけくそのように近くのホテルの足つぼマッサージへと
タクシー運転手に行き先を告げ乗り込む。
すぐ近くだし分かりやすいハズ、と乗ったらどんどんどんどん遠くへ……。えーーー
途中このホテルだよね?と運転手に地図を確認すること数回。
いやいや絶対ちがう!と降ろされたのは有名な巨大カジノ。
足つぼマッサージに行きたいという客をカジノに直行させるタクシー。
この国のタクシーは安くて利用しやすいのですが
運転手は運次第。
さすがギャンブルの国です!
執念の足つぼマッサージは断念。無念。
カジノに後ろ髪惹かれつつも
お昼はポルトガル料理のお店「エスカーダ」へ。
ビール四本、ワインボトル一本、何もかもが美味しい。
カニが好きな母ケーコは、広東料理でもポルトガル料理でもカニを注文。
上海ガニが丸ごと調理されており、カニの事なら任せて!と母ケーコの出番。
ビニール手袋をもらって、バキバキとカニの足をもぎとり解体作業、
もくもくと器用に身をそぎ出してくれます。
カニとケーコ、これ以上最高の組み合わせを見たことがありません。
初日に見た市場の、包丁振りかざして目の前で魚をさばくおばちゃんたちを思い出しました。

夕方からは「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」という
水上のエンターテイメントショーへ。
https://tripnote.jp/macau/the-house-of-dancing-water
直径約50m深さ8mの世界最大級のプールを備えた劇場は
海、砂浜、陸、噴水と変幻自在の舞台装置。
高さ十数メートルから次々とプールに飛び込むアクロバティックなダイブや
華麗なダンス、轟音とともにバイクが宙を舞ったりと圧巻。
一つの物語になっていますが、セリフは一切なし。
出発前日にネット予約したのに、とても良い席で父も母も楽しんでくれたようで良かった良かった。
ホテルに戻った最終日の夜、ダース買いしたビールはあっという間に底をつき
いつものスーパーへ追加調達へ。
レジのおばさん「また来たね」という顔です。
「四日間でどんだけ飲んだのかしら?」と問う私に
「お店のビールサーバーのタンク、4本分くらい?」と父、さすがプロのたとえは違う。
この部屋の掃除をするスタッフも、毎日空き缶の回収が大変だったことでしょう。
空き缶の上にチップをおいてチェックアウトするのでした。

さて、帰国日は日本列島に台風直撃日です。
私たちの飛行機は予定通りでしたが
五分あとの関空行きは欠航。
帰国後、ニュースを見て驚いたものです。
無事に成田空港に到着し、両親は新潟空港へ乗り換えでしたがこちらは欠航。
急きょ新幹線の手配。
帰りは二人で大丈夫だというので、
東京行きの成田エクスプレスに乗るまで、向かいのホームから見送りました。
車両に乗り込み、私たちに手を振りながら指定席に向かう二人の姿が見えます。
ところが立ったまま、座らない。
どうやら他のお客さんが座っている模様。
身振り手振りのてんやわんや状態で発車し、文字通り見送るしかできない私と息子。
落ち着いたころ、ケーコからLINEで
「中国から観光客がじじばばの席座ってたから怒った」と。
「怒ったの?(笑)通じた?!」
「手でね。なんどもソーリーソーリ―っていってたから大丈夫」
と、最後まで面白いふたりでした。
そしてその数分後、新潟行きの新幹線の情報が入るのです。
「線路に障害物、運転見合わせ」と。
こうして最後まで「足」に引っ張られるマカオ珍道中でした。


親が元気なうちに色んなところ行って色んなもの食べて
色んな話しをしたい、と思うものです。