元祖クラシマの正月からもう3ヶ月!

気が付けば三月。
大雪の新潟と春の陽気の関東と行ったり来たりの日常は
境界線が分からず曜日感覚もなくなります。
年末「お正月はどうしても家族と過ごしたい」と
主治医に拝み倒して退院してきた父イサム。
父の血を盛大に受け継いだ酔っ払い家族の中、
唯一酒を我慢し「元祖クラシマ家の正月」を過ごした父でした。
元祖クラシマ家の正月とは何ぞや?と思う方も多いでしょう。
来るもの拒まず誰でも盃持てばみな友達。
今年は家族限定でしたが。
そしてマジックが出たら最後。
顔、腹、背中と至るところに落書きのいけにえひとりまたひとり
大人も子も総勢16人あまりがゾンビの様相に。
普通の落書き(ってなんだ?)ではつまらぬと
一番下の妹の顔にウロコを一枚一枚描き始めた私。
見事なへび女と化した妹に、ゾクゾクと鳥肌が立ちました。
我ながらよくやったと得も言われぬ達成感。
そんな私は、父のいけにえに。
目の周りを真っ黒にぬりつぶされたオッサンパンダ。
みんな若かったころはそのまんま深夜の神社で初詣という
百鬼夜行を繰り広げたものです。
これぞ元祖クラシマの正月!を過ごした父は
小康状態を保ちつつも2月下旬再入院の予定に。
ところが入院予定日の3日前に体調不良で病院へ行き
そのまま入院を言い渡されたのです。
食道に浸潤した癌が肥大し、食べ物が喉を通らなくなっていました。
ところが父、
「まだやることがある」からどうしても帰るんだと断固拒否。
一次的な処置をしてもらい、予定通り三日後の入院ということで帰宅許可。
帰宅後の写真が家族のグループLINEにアップされました。
なんと
病院着のまま自宅のこたつでピースサインをしている父。
脱獄か!
脱走兵か!
これが作戦Dか!
Dは脱走のDか!
また増えた武勇伝!
きょうだいたちのツッコミ。
入院予定日の朝は大好きな「さわ山の大福」を食べ
神妙な顔で「大変お世話になりました」と頭を下げた父。
まるでこれが最後のような顔で入院していきましたが
その後予定より一週間も早い退院が決まり
今度はちゃんと着替えて帰宅。
数々の武勇伝を生み出してきた父と家族たち。
朝起きて、父と母がいること。
「おはよう」と言えること。
ご飯が食べられること。
テレビをみてヤジを入れること。
寒いねとコタツで丸くなれること。
話せること。
笑えること。
泣けること。
眠れること。
歩けること。
少しずつできなくなっていく父を見ながら
なんでもない日常がかけがえのないものだと感じます。
イマココを愛おしむように、慈しむように、大切に。
「お刺身食べたくてアジを買ってきたよ!」というと
「アジをさばくときはね…」と起き上がる父。
食べることと美味しいものを作ることが何よりも好きなんだよね。
「じじいはしぶといのだ!」
何度でも起き上がってくる父、最強です。

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