念願の高知県北川村「モネの庭」マルモッタン

母ケーコと二人の四国旅行。
目的はツアー名の通り
大塚国際美術館3時間滞在と「モネの庭」マルモッタン・牧野植物園3日間』
なのに、その隙間を埋めるがごとく
猛暑のうだつの街並み、猛暑の金毘羅さん785段と修行のような行程が組み込まれていたのです。
まさに盲点。(旅程表に書いてあるのにw)
汗だくだくの二日間を終え最終日。
ようやく高知県の北川村「モネの庭」マルモッタンへ。

モネは私にとっては特別な存在です。
私が聴力を失ったとき、虎ノ門病院に良い先生がいることを知り
「治るかもしれない」そんな一縷の望みをかけて
群馬県から新幹線で通院していたことがあります。
通院の帰りに、父はよく上野の国立西洋美術館に連れていってくれました。
17歳だった私は、睡蓮が浮かぶ美しい水面の絵から離れられなくなりました。
印象派の画家クロード・モネの「睡蓮」です。
水面に浮かぶ蓮の花や草、水面にうつる空の青さと反射する光など、
私にとって、こんなに光に満ちた絵画は初めてでした。

音を失って、コミュニケーション手段を失って、この身体でどう生きていくのか
希望も光も見えなくてつらかった私は
美しいものを見ることで心が癒されることを知りました。
静かな世界で、静かだからこそ誰にも邪魔されることなく
自分自身との対話をしたり、父との会話はほとんどなくても
「並んで一緒にみる」ことそのものが対話だったんだなぁ、
と父をうしなって一年となる今は思います。そんなモネがこよなく愛したフランス・ジヴェルニーの庭をモデルに創られた庭です。

なのに、
なのに、
なのに、滞在時間一時間。
睡蓮の咲く「水の庭」、地中海の「ボルディゲラの庭」
花が咲き乱れる「花の庭」もう少しゆっくりと散策、
というか朝からずっとここで過ごしたいほどの
心地よい風が吹く庭園でした。

水鏡に映る木々や草花の美しい様子を眺めながら
「お父さんと一緒に来たかったね」そんな思いをケーコと分かち合いつつ。
私が初めて、モネと出会ったとき
美しいものや心を揺さぶられるものとの出会いがある限り
生きる価値はあるのかも…そんなふうに思ったことを思い出しました。
私にとってのこの旅の最大の目的、モネの庭を後にし
そして、余韻に浸る間もなく、この後
やっぱり珍道中的なことが起こるのでしたよ。フフフ

少女チックな母ケーコ