群馬講演

先日、関東ろう者大会が群馬で開かれた。
その名の通り、関東各地の聴覚障害者と関係者が一同に会し、研鑽と交流を深めノーマライゼーションの実現を目指し
毎年開催されている。
多岐なテーマに渡って分科会やスポーツレクリエーションなどが二日間にわたって行われる中、記念講演をさせていただいた。
何しろ群馬は私が育った場所。
群馬に行けるのが嬉しくてたまらなかった。

東京駅で新幹線に乗り込む前、ちょっと時間があったので地下のATMへ行った。
使用中の若い女子の後ろに並ぶ。
彼女が去り、自分の財布を取り出したところ、横にスマホがあることに気付いた。
もしや、先ほどの彼女の忘れ物?
慌てて、財布をしまい込み、スマホをもってキャリーバッグを引っ張って彼女を追いかける。
彼女を呼ぼうにも、こんなときっていったいどうやって呼ぶのか。
ごった返す中、思わず「すみません!」と叫んだらみんなが振り返った。そりゃそうだ。恥ずかしい。
休日の東京駅、混雑の中、彼女を見失うまいと必死に追いかけ、追いついた時は息も切れ切れ。
ともかく渡せて良かったし、彼女もとても喜んでくれた。
が、気がついたら自分がどこに来たのか分からず、乗車予定の新幹線に乗り遅れてしまった。笑

そんなこんなで無事到着した群馬。
暑いのなんのって。
しかも、関東中の聴覚障害者が集まっているとのこと、会場は右を見ても左を見ても手話だらけ。
普段、健聴者の中にいて、どんなに大勢いても「にぎやか」だとか「うるさい」と感じることはないのに、
あっちこっちで手が舞ってる様子はまさに「にぎやか!」

講演には700名もの方がきてくださり、
聞こえる世界から聞こえない世界へ、ユニバーサルデザインをテーマに様々な事例を紹介したり
群馬でお世話になった方々に、心からの感謝の気持ちを込めて講演をさせていただいた。
サイン会にもたくさんの方が並んでくださった。
「松森果林」
「木」ばかりの名前。この日一日で700本以上の「木」を書いた計算となる。
植えたらどれだけの規模になるのか。
それでも一人一人の顔が見えること、直にコミュニケーションできるのはありがたい。


義理人情に厚い群馬県人。
群馬のためにと力を注いでいる地元の聴覚障害者たちの存在がとても心強かったし
また機会があればご一緒したいと思う。

無事に終了し、帰りの新幹線では放心状態。
新幹線から降りたものの荷物を棚に置き忘れ、また引き返す。
掃除のオジサンが預かってくれていた。
行きから帰りまで、足止め喰らいつつも助け助けられの群馬。
それにしても前橋、暑かった!